マスター入稿ガイド

基本的なマスター入稿方法に関しましては、下記「①入稿ファイル形式〜②テープ分数」のみご参照ください。

①入稿ファイル形式について

“VU"

【 入稿ファイル 】
● WAV 又は AIFFオーディオ・ファイル
弊社にマスター音源をお送りいただく際は、ファイル転送サービス(ギガファイル便やfirestorageなど)のご使用を推奨しております。
ご入稿が「mp3」ファイルの場合、ご希望に応じてWAVへの変換(片面毎@1,000円)対応をいたします。

【 ビットレート/サンプリング周波数 】
● 16bit / 44.1kHz
ご入稿がハイレートの場合(例:24bit / 48kHzなど)、ご希望に応じて16bit / 44.1kHzへの変換(片面毎@1,000円)対応をいたします。

【 推奨ファイル 】
● A面全曲で1ファイル・B面全曲で1ファイル
曲数に関わらず各面1ファイルにまとめていただき、曲間を付けてご入稿を選好しております。
ご入稿データ通りにスピーディに工程を進行でき、納期短縮につながります。一方、曲毎に分かれたファイル(お客様側で各面毎に1ファイルに編集が困難な場合)も承りますが、各ファイルのフォーマット確認やトラックリストとの照合にお時間を要する可能性がございます。

【 ファイル名 】
● ①品番・②A/B面表記
品番にて製造管理を行なっておりますので、お手数をおかけいたしますが、品番の付与(任意でも構いません)とA/B面の表記をお願いいたします。
(例: ABCD-0001_SIDE-A.wav、ABCD-0001_SIDE-B.wav)

仮に曲毎に分かれたファイルでご入稿される場合、各ファイル名には①品番、②A/B面、③曲順の表記を必ずお願いいたします。
(例: ABCD-0001_SIDE-A01.wav、ABCD-0001_SIDE-B01.wav)

【 音源レベル 】
● A/B面ともに各曲のレベル差が極端でない編集
ご送付いただいた音源について、基本的にピークからの録音レベルを調整して複製に着手しておりますが、下記のような高音域・低音域が非常に極端な場合、調整困難な場合がございます。
●高音域: シビランス(歯摩・サ行)高域が強調過る場合
●低音域: E弦の開放音の様な低音域レベルが高過る場合


②テープ分数について

【 分数の種類 】
● 当サイトでは、価格の目安として往復10分・20分・30分・40分・50分・60分の参考価格を掲載しておりますが、実際の製造はご入稿いただいた音源の任意の長さに合わせて収録を行います。よって、10分・20分など丁度の長さに音源を合わせる必要はございません。

プロ仕様業務用カセットデュプリケーターで記録後、高性能業務用カセットローダーによりカセット本体に録音済テープを挿入します。
よって、10分、20分、30分テープなど磁気テープが入った既製のブランクテープに音源をダビング複製するのではなく、最初にパンケーキと呼ばれるオープンリール形状の磁気テープに音源の任意の長さに合わせて記録後。その後、テープの入っていない空のカセット本体に録音後の磁気テープを全自動で一本づつ挿入します。これにより、全く新たなカセットテープを、短期間で大量に生産することを可能にしております。

“VU"

収録時間は片面(A面・B面)でそれぞれ半分となり、収録時間が長い方の面に合わせた調整を行います。例えば、
●A面合計:5分
●B面合計:6分 → 長い方の6分に合わせたテープ長

加えて、カセットテープには、磁性テープ部分の露出防止などの目的で、最初と最後に透明色(又は乳白色)系のリーダーテープが挿入されております。
リーダーテープを含めた再生時の無音部分は約12秒に設定されており、この無音部分の秒数を短くするなどの変更は規格上不可となります。また、収録された磁気テープの再生速度は誤差±0.1%(弊社計測)ほどに抑えられております。

【 最大分数 】
通常仕様の最大分数はA/B両面で60分(片面30分 x 2)までとなりますが、厚さが若干薄めの磁気テープを使用することにより、通常進行において最大両面で90分(片面45分 x 2)まで対応いたします。また、音源によっては両面で往復100分位まで対応可能な場合もございますので、ご希望の場合はご相談ください。

因みに市販のC-30やC-60のテープは、Cassetteの頭文字「C」に収録可能な時間を表したもので、C-30は両面で30分、C-60は両面で60分となります。


③テストテープ

【検証盤について】
量産前にカセットテープにした音源確認をご希望されたい場合、オプション(1回毎に6,000円)で音源の検証盤となる「テストテープ」の製作が可能です。
テストテープは音源のみを収録いたしますので、レーベル面やジャケットなど印刷物が無いカセット本体のみをお送りいたします。音源を修正されてテストテープを再度ご希望された場合、その都度、テストテープ製造費が発生いたしますので、予めご了承ください。

お送りいたしましたテストテープの音源をご承認いただいてからの量産開始となりますので、ご希望日から追加の製造日数が必要となる場合がございます。

【立ち会いについて】
カセット特有の歪み対策などデュプリケーション前のマスター調整をご希望の方は、工場エンジニアとの「立ち合い」によるレベル調整を承ります(工場所在地:神奈川県相模原市)。当拠点はマスタリング・スタジオではなく製造工場のため、ミックス/マスタリングは行っておらず、デュプリケーション前のレベル調整(音圧など)の対応となります。

事前のスケジュール調整が必要のため完全予約制(約1時間)とさせていただき、誠に恐れ入りますが検証盤となるテストテープ製作費用(案件毎1本につき6,000円)をご負担いただきます(ご要望多岐の場合、別途費用が生じる場合もございます)。尚、弊社にカセットテープ製作のご発注案件でマスターをご入稿いただきました音源のみ対象となります(ご発注以外の音源や一般の方の見学は承っておりません)。予めご了承ください。

ご予約をいただいた後、来訪者入館票をメール添付にてお送りいたしますので、各項目をご記入・条項をお読みいただき、メール添付にてご返送をお願いいたします(ご記入いただいた以外の方や多数名のご入館はお断りする場合がございます)。また、衛生管理上(埃対策等)のお願いをする場合もございます。写真動画撮影は事前に弊社により許可された場所のみ可能とさせていただきます。工場繁忙時には、誠に申し訳ございませんがご希望日付近のご予約がお受けできない場合がございます。重ねて生産ライン稼働の工場での立ち合いとなりますので、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。

対応日:平日(土日祝は不可)
時間帯:09:00〜17:00
所在地:神奈川県相模原市中央区

詳しくは弊社担当者までお問い合わせください。


④磁気テープの種類について

弊社では現在も量産されている音楽グレード用「ノーマルテープ」を標準仕様としております。
カセットテープは、電気的特性に応じてType I、Type II、Type III、Type IVに分類されます。

“HIGH"

⚫︎Type I:ノーマルテープ (ノーマルバイアステープ)
・酸化鉄が原材料の基本的な磁気テープ
・再生イコライザ時定数:120μs
※ 弊社では音楽グレード用「ノーマルテープ」を標準仕様

⚫︎Type II:ハイポジションテープ (ハイバイアステープ)
・コバルト酸化鉄が原材料のハイグレード磁気テープ
・かつて二酸化クローム(CrO2)が使用されていましたが、後に環境へ影響や有毒性の懸念からコバルト酸化鉄に変更
・再生イコライザ時定数:70μs
※ 弊社では「コバルト酸化鉄」ハイポジテープを特注対応

⚫︎Type III:フェリクロームテープ
・表層にType IIに使用される二酸化クローム・下層にType Iに使用される酸化鉄の二層塗りテープ
※ 現状においてType IIIは量産されておらず選択不可

⚫︎Type IV:メタルテープ
・酸化されていない鉄合金磁性体を使用したテープ
※ 現状においてType IVは量産されておらず選択不可


⑤ハイポジション(通称ハイポジ)テープ

ハイポジテープは、飽和や歪みを軽減してノーマルテープと比較してヒスノイズを抑え、ダイナミックレンジが広がって中高域特性がよいとされています。
一方、低音の迫力に関してはノーマルテープの方が良い場合が多くあります。

“VU"

【 再生機の対応 】
再生機によっては、磁気テープの種類によって本体を設定するセレクターが付いており、ノーマルテープは「Type I (Normal)」、ハイポジテープは「Type II (CrO2)」に設定します。また、再生イコライザ設定も付いた機種もあり、ノーマルテープは「120µs」、ハイポジテープは「70µs」を選択します。ハイポジ対応機でないとテープが持つ特性を十分に発揮出来ず、音質に悪影響となる場合もあります。適切に録音されたハイポジテープをノーマルポジション設定で再生した場合、約4dB強調されると言われております。現在、市販されているほとんどの再生機はノーマルテープ再生目的に製造されております。

【 カセットテープの対応 】
カセット本体にはハイポジション検出穴(再録防止用のタブ穴の横側)が付くようになっており、再生機側にはハイポジション検出穴を認識して設定するオートテープセレクター機能が掲載された機種も製造されておりました。現在、市販されているほとんどのカセットテープはノーマルテープとなっており、新品のハイポジテープはほとんど量産されていない状況です。

“VU"

【 CASSETTE EXPRESSの対応 】
●現在も新品製造されているコバルト酸化鉄が原材料の「ハイポジ」テープ製作を特注料金にて承ります。ハイポジション検出穴の有無に関わらず全てのカセット本体カラーにハイポジテープを挿入することが可能です。

●オートテープセレクター掲載機器でハイポジテープを再生される場合には、ハイポジション検出穴が付いたカセット本体である必要があります。現在、弊社にてご用意可能なハイポジション検出穴付きカセット本体はクリアカラーの専用仕様のみとなります。

●ハイポジテープにて対応可能な最大分数は、両面で60分(片面30分 x 2)までの音源となり、ご発注いただく際にはテストテープ(検証盤)で収録音源をご確認いただき、ご承認後に量産をさせていただきます。尚、限定生産の為、ご発注いただくタイミングによっては直ぐにご用意できない場合があり、納期が通常より長くなる場合がございますので、予めご了承ください。

【 磁気テープの特性参考比較 】

項目 ノーマル(Type I) ハイポジ(Type II)
保磁力(Oe) 325 540
残留磁束密度(Gauss) 1700 1700
全高調波歪み率(dB) +3.0 +2.6
3次高調波歪み(%) 0.7 2.0
相対テープ感度・315 Hz (dB) 0.0 -1.0
相対テープ感度・3150 Hz (dB) +1.0 -1.1
相対テープ感度・10 kHz (dB) +3.6 -1.5
相対テープ感度・12.5 kHz (dB) +4.5 -1.0
相対テープ感度・15.5 kHz (dB) +4.7 -0.6
レベル/バイアスノイズ比(dB) -52 -60

⑥ご参考までに(カセットマスタリング)

カセットテープのプレゼンスを高めるマスタリングには、次のような方法があるとされています。

・アッパーミッドレンジとローワーHFレンジのプレゼンスを高めるミキシング(テープヒスを軽減する目的)
・鈴音、ウインドチャイム、トライアングル等7~8 kHz成分が多い金属音はマキシマイズしない(歪む可能性を軽減)
・ディエッサーを使用(5 kHz~10 kHzの範囲で機能)
・プリ・エンファシス内蔵のマルチバンド・ピークリミッターを使用(リミッティング前)
・マルチバンド・コンプレッサーを使用 (100 Hz以下の低域など必要な部分だけにコンプレッサーをかける)
・ハイパスフィルター使用(非常に低い周波数をロールオフ)
・20 kHzで20 dBのEQブーストを加えない

カセットテープ製作のワンストップサービス!CASSETTE EXPRESS